Fishbone

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2022.5.18

スイート・エモーション

積年の鯨飲がたたり、少し前に胃を悪くしてしまった。

それを機にガクンと酒量を落とし、今では舐めるほどの量を恐る々々口にする程度となっている。
少し寂しくもあるが、まあ今までの人生で京セラドーム二杯分の酒を呑んできたので、もうイイかと云う気もする。

さて、酒を呑まなくなった自身の身体に起きた最大の変化が、甘いものを欲する様になったことだ。
長い付き合いの人はよく知っているだろうが、僕は甘味を全く口にしない人間であった。
食べるとすれば、これは例えではなく、一年にキットカットを一欠片だけ、そしてもう半欠けは子供や配偶者に食べてもらう、それぐらいに徹底して甘いものを必要としなかった。
それが今やどうだ、食後には必ずキットカットかピノを口に放り込み、子供たちの食べているたけのこの里を背後からヒョイとつまみ盗る。
店で差し入れやお土産にいただいたクッキーは、以前は右から左でお客さんに配っていたのが、しっかりと吟味して一番美味しそうなモノをまず手前が確保する、と云った変貌ぶりだ。

これは、アルコールで摂取していた糖分が、急激に絶たれたために起きた現象であると推察される。
刑務所や、アルコール依存症治療病棟などで、甘いものの奪い合いが起きると云うのも、同様の理由であろう。

しかし、今まで見向きもしなかったスーパーマーケットのゼリー陳列棚の前で、「ほう、白桃ゼリーですか」と足を止める日が自身に訪れるとは、夢にも思わなかった。
セブンティーンアイスを娘と取り合うようにして食べる僕の姿を見て、配偶者は言う「ね、どっかで偽者と入れ替わってない?」
UFOにさらわれた記憶はないので、大丈夫だと思うのだが。

そしてこれも発見なのだが、どうやら僕はホワイトチョコが好きらしい。
カカオを使っていないお子様チョコを好むところが、我が事ながら貧乏くさくてイイではないか。
そうカンラカンラと笑っていたら、「貴様は何にも分かっていない。甘味の道の入り口にも立っていない」とお叱りを受けてしまった。
「この国には、和菓子と云うものがある。茶との相性を考え出すと、その組み合わせは無限大」
ひぃ、甘味の道、遙かなりである。

最後に、身体に起きたもう一つの大きな変化を。
これは酒場の人間が大きな声で言うことではないのだが・・・
酒をやめると、確実に痩せるわよ。