Fishbone

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2025.1.20

処女塚ハッピーウォーターズ

コトの起こりはこうだ。

コロナ禍で休止していた店内ライブ〈魚市場〉を復活させて、しばらくになる。

今回のライブに出演してくれるアコースティックでケルトやアイリッシュ音楽を演奏する男女ユニットがいて、ボーカル女子がティンホイッスルという縦笛を吹くのだ。

ボクが昔から唄っている好きな歌に、アイリッシュ音階の曲があり、それにこの笛を入れてもらったらステキだろうな、そう思いついた。

「この曲、一緒にできないかなぁ」

実に軽い気持ちで、そのユニットのバンマスであるギター男子に告げた。

そしてそこから全てが始まった。

このギター弾き、実に仕事の出来る男で、瞬く間にベースとドラムを勧誘し、楽譜をあっという間に書き上げ各メンバーに配布、さらにはプライベートスタジオを持っていて、そこでリハーサルをする日時を調整、当日そこへ行くと、各楽器のセッティングは終わっていて、あとは演奏するだけという段取りになっている。

当初、彼らと3人でできたらなぁぐらいに思っていたワタシの思惑は嬉しく大きく裏切られ、大所帯のバンドが出来上がっていた。

12弦ギターとビールを手渡されたワタシは、ただただ気分よく唄うだけでよかった。

さて、リハーサルも終わり、そのままその場で飲み会になだれ込む。

と、縦笛で参加してくれたボーカル女子が話しかけてくる。

「今回、誘ってもらって、すごく嬉しかったんですよ。私たちボーカルは、いつも周りが自分に合わせてくれるじゃないですか。だから、こちらから合わせるのが楽しくて。初めてバンドに参加しているって感じです」

分かる。

ものすごくよく分かる。

数多くのバンドにボーカルとして所属してきた。

練習スタジオで、稽古中の曲が上手くいかなくて、演奏を中断したとする。

ドラム、ベース、ギターの3人が頭を寄せ合って、何やら難しい音楽用語を並べてのミーティングが始まる。

その輪には入れてもらえず、ひとりポツネンとお茶などをすすっているが、なかなかに話し合いが終わらないので、ボクも何か言わなくちゃいけないと思い、

「ボ、ボクは、どんなふうに唄えばいいかなぁ」

勇気を出した発言に、

「あ、大きな声で」

「うん、元気よく」

「笑顔で」

この疎外感たらない。

なので、この縦笛ボーカル女子の上記の発言に、大いに頷いたのだった。

楽器隊としてバンドに参加。

ボーカリストとしての一つの憧れなのかもしれない。

ボクの長い音楽人生の集大成としての夢がある。

それは、自身が拵えたバンドにサイドギターとして参加するコトだ。

ボク以外の楽器隊は腕利きで固め、ボーカルは可愛らしいお嬢さん。

杉咲花さんがイイだろう。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコとかサディスティック・ミカ・バンドなんかも、こういう不純な動機で結成されたに違いないのだ。

ライブ演奏中に、特に用もないのに杉咲さんに耳打ちしてみたり、彼女のマイクにコーラスを入れにいったり。

そして、はしゃぎすぎた結果、木暮シャケ武彦に殴られそうになって、それをダイヤモンド⭐︎ユカイに止めてもらったりして。

夢は広がるばかりだ。